「あんたは無理」「いい年して」誰かに呪いをかけてない?呪いにかかってない?読めば今より少し素敵な明日が来る!5.4万いいね獲得の漫画作者に直撃
東京ウォーカー(全国版)
「呪いは世界に溢れてる」から始まる本作品は、決してファンタジー作品ではない。世界に溢れている“呪い”とは「いい年して恥ずかしい」「あんたにできるわけない」「女のくせにでしゃばるな」「男のくせに情けない」などの暴言たち。そしてこの漫画の主人公の少年は、母親から「やめなさい、こんなもの」と呪いをかけられている。
この作品を読んだ読者からは「呪いっていつの間にかかかってるし、ほかの人にもかけてるよなぁ…これを読んで目が覚める気持ちです」「自分に理解できないもの、価値を感じないものに夢中になっているのを見ても貶したり嫌みを言うような人にはなりたくない」「学校で取り上げてもらいたいくらい素敵な内容でした」などのコメントが殺到した。
「呪いの少年とプリンセスになりたい少女」は、小学6年生の少年“樹”と少女“りこ”の物語だが、大人にこそ読んでもらいたい作品だ。「無意識だったとしても、いつか自分が誰かに呪いをかけてしまわないように気をつけようと思いました」という内容のコメントが殺到したように、この作品を読んで他人を否定しないよう、今一度見つめ直したい。
作中で樹は、母親からスパルタ教育を受けている。朝読書ひとつとっても、ラノベや漫画は禁止されており、“だったら!”と好きな鉱石についての図鑑を読んでいると、ついに母親から本の指定までされてしまった。好きな本を自由に読むこともできない状況だが、樹は「みんな大なり小なりそういうの飲み込んで生きてんじゃん?」と冷めていた。樹は鉱石が好きだったが、母親から「やめなさい、そんなもの。石なんてなんの役にも立たないもの」と言われ続け、自分の好きなものですら肯定できない状況になっており、まさに“呪い”にかかっていた。
その樹の呪いを解いたのが、「私の夢はプリンセスになること!」と話す少女・りこだった。2人はひょんなことから隣町の神社に“呪いのキューブ”を探しにいくことになった。いつも大好きなプリンセスドレスを着ているりこは、道行く大人たちに「ちょ、見て!あの子!プリンセスドレスよ。うちの子だったら許さないわ~」「うわぁ、もうゾッとする」と言われてしまう。もちろんりこの耳にもその言葉は届いていて、樹はヒヤヒヤしながらりこを見るが、りこは平気な顔。「ああいう呪いにはかからないようにしてるんだ」と笑うが、樹はモヤモヤする。
エンディングでりこが思わず「やっぱりわたしは間違ってなかった!!」と大粒の涙をこぼすシーンがある。呪いにはかからないようにしている、と言っていたりこだが、その心は揺れていて、揺れている中でも大切な夢を守ろうと必死だったのだ。そのときになって初めて樹は、りこが平気なわけなかったんだということを知り、胸が締め付けられる。
作者の映生(@e_va_lontano)さんは、映画とドラマと漫画とアニメとラジオと、時々ゲームによって生かされているという漫画家。気がついたら重くてドロドロした話を描くことが多いが、ギャグを描くのも好きだと言う。今回、この作品に込めた思いなどについて詳しく話を聞いてみた。
この記事の画像一覧(全47枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック