コーヒーで旅する日本/九州編|飾らず、目立たず、ひっそりと。細路地に空気のように馴染む「珈琲人町」

九州ウォーカー

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最初は移動販売から

豆売りは100グラム〜。ブレンド3種、シングルオリジン3種程度を常時用意

独立に際し、場所は故郷の長崎市とある程度決めていたという竹下さん。「最初はトラックを使って移動販売から始めたんです。珈琲舎のだでは焙煎にも携わらせていただいて、私にはそれがすごく性に合っていました。それであるだけのお金でまずは焙煎機を手に入れました。それを自宅の一角に据えて、自分で焙煎した豆を携えてトラックで移動販売し、という日々を3年ぐらい続けました。移動販売の出店場所の拠点がちょうど、この『ししとき川通り』で、大家さんとの繋がりや縁があって、今の場所に落ち着きました」と教えてくれた。

深煎りだが、すっきりと飲めると評判の水出しアイスコーヒー(450円)

そんな「珈琲人町」のコーヒーは人町ブレンドと銘打った3つのブレンドが看板。1番は浅煎り、2番は中煎り、3番は深煎りと単純明快な分け方が竹下さんらしい。それにプラスしてシングルオリジンを常時3種を用意し、好みでセレクトできる。冷たいコーヒーは水出しアイスコーヒー(450円)。ブレンドの1番と3番をミックスし、深煎り由来のスッキリとした苦味に浅煎りの甘い余韻が続く一杯で、暑い時期以外もコンスタントに注文が入るそうだ。

実は同店を訪れる前に福岡県筑紫野市にある自家焙煎珈琲 萌香の店主・帆足さんから「長崎市の市街地に沖縄産のコーヒーが、ある時期だけ飲める店がありまして。この前行って飲んだんですが、すごくおいしかったんですよ」という話を聞いていた。竹下さんと話していると「毎年11月だけ沖縄県・国頭村安田に農園があるアダコーヒーさんの豆も取り扱っておりまして」という話題が!帆足さんが言っていたのはここだったんだ、と偶然の出会いもあった。

器や花器もステキで

「珈琲人町」の漢字をモチーフとしたロゴも味がある

焙煎機はラッキーコーヒーマシンの直火式4キロ。ゆえにしっかり火が入っている印象だが、生豆が持つフレッシュな酸味、余韻の甘味は大切にしている。

店内に飾られている陶器はほぼ奥さんが手掛けたもの

「珈琲人町」とはまた別に「coffee&clayworks 笠」という店舗があり、こちらは不定期で営業。竹下さんの奥さんが陶芸家で、器のギャラリーと喫茶店を兼ねた空間になっている。営業日など最新情報はHPやSNSで随時アップ。ちなみに奥さんが手掛けた器や花器は「珈琲人町」でも使っているのでぜひ注目してほしい。

器はもちろん絵画、インテリアにも竹下さんのこだわりが詰まっている

生豆の生産者への感謝とリスペクトの気持ちは忘れず、できる限り素材の魅力を引き出す焙煎を心がけているのは、すべてコーヒーへの愛情から。ただ店頭ではそれは前面にはあまり打ち出していない。ただ自然とその気持ちが伝わってくるのは、この店が真摯にコーヒーと向き合っているからだろう。「珈琲人町」が長崎市で長く愛される理由は明確だ。

竹下さんレコメンドのコーヒーショップは「きまま焙煎所」

「野母崎という長崎市の南東、海っぺりにあるコーヒー屋さん『きまま焙煎所』。店主の菅原くんは地域おこし協力隊員として野母崎に移住された方ですが、しっかり地域に馴染んでいて、すごいなー、と素直に感心しています。ちょっと前は手回し焙煎をしていたけど、今はどうかな?とにかくロケーションも最高なので、晴れた日にぜひ行ってもらいたいですね」(竹下さん)

【珈琲人町のコーヒーデータ】
●焙煎機/ラッキーコーヒーマシン直火式4キロ
●抽出/サイフォン、エスプレッソマシン(VIBIEMME)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム600円〜


取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)

※新型コロナウイルス感染症対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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