日本の峠で生まれた「ドリフト」が世界大会開催へと羽ばたくまで

東京ウォーカー(全国版)

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11月3日と4日の2日間、東京・台場の特設会場にて都内唯一の世界自動車連盟(以下FIA)公認の自動車競技イベント「FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ」(以下FIA-IDC)が開催される。今回で2回目となるこの大会。FIA-IDCは、その名の通り車両が白煙を上げながら横滑りをする「ドリフト走法」の美しさ、技術を競い合う「ドリフトの世界一決定戦」だ。

FR仕様にカスタマイズされた1000馬力のGReddy 35RX SPEC-D(R35 NISSAN GT-R)をドライブする川畑さん撮影:栗原祥光/2017年11月撮影


1980年代に日本の峠で生まれ、日本発祥のプロスポーツとして競技化し、世界大会が開かれるまでに至る30年以上の長い道のりを、プロモーターである株式会社サンプロスの齊田功社長と昨年の王者である川畑真人さんに伺った。

10月中旬渋谷のシンボルSHIBUYA 109で行われたPRイベントに出席した川畑さん撮影:栗原祥光


映像作品を通してつながっていた2人


「私がドリフトに関わるようになったのは、ビデオオプションという映像媒体のスタッフになった時からでした」。主催者である齊田さんとドリフトの出会いは、仕事上の関係から始まった。「その中で、1988年に全国各地の“ドリフト君”たちをサーキットに集めたイベント「峠の王者決定戦」を行ったところ人気が出まして。レギュラー企画になりました」。

サンプロス齊田功社長撮影:栗原祥光


いっぽう川畑さんは、齊田さんが作ったビデオを見て育った1人だ。「幼少期の頃からクルマが好きで西部警察とか見ていたんですけれど、ドリフトを見たのは土屋さんがドリフトをしているビデオを買ってからですね。それまではレーサーに憧れていたんですけれど、僕もドリフトをしたいなと。ちょうど小学校か中学生の頃ですかね。免許は18歳になってすぐに取得して、ドリフトをするためにクルマを買いました」

インタビューに応える川畑さん撮影:栗原祥光


クルマは当時ドリフト界で人気のFR車・日産「180SX」。「僕は大阪に住んでいたので、名阪スポーツランドで平日に行われるショップの走行会などを、学校を休んで行って練習をしました。初めてサーキットに行ったのも高校生の頃かな。免許を取ってすぐにですね」という。

ビデオ企画から大会開催、プロスポーツへ


人気が出てきたドリフト。しかし齊田さんの頭を悩ます嬉しい悲鳴が起こった。「イベント参加者があまりに多いものですから、一度出た人は次に出場する機会がなかったんです。これは私達の勝手な都合なのですが、同じ人よりも新しい人を出したいですからね。そこで上手い人だけを集めた全国大会をシリーズ展開するイベントを開催することになりました。併せて、社会問題となっていたドリフトをオフィシャルな場として正しくできる競技会の場も作れないかという思いもあった。そこで2000年に日光サーキットで初めてドリフトの競技会を開催し、年5回のシリーズ戦として行いました」

サンプロス齊田功社長撮影:栗原祥光


シリーズ戦はその後「D1グランプリ」と名付けられ優勝すると賞金が与えられた。世界初の「プロスポーツとしてのドリフト競技」の誕生である。川畑さんも、このD1グランプリに出場したかった。「でも最初の頃は出れなかったんです。それまでの『イカす走り屋チーム天国』などで上位にいる、名のしれた有名な人しか出れなかったんですよ。自分はイカ天には出ていなかったので。ですが2001年頃にD1出場ライセンスが取得できる選考会があるというので参加して優勝してからですね」。権利を獲得した川畑さんは2002年、務めていた滋賀県にあるドリフト系のショップからの出場を果たした。

インタビューに応える川畑さん撮影:栗原祥光


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