「大切なのは“正直さ”」車業界の透明化に挑む中野優作のリーダー論に、こじりんが涙した理由とは?【NMB48・小嶋花梨の“最強キャプテン”への道】

東京ウォーカー(全国版)

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こじりんの「申し訳ない」という気持ちと、過去を清算する方法

【本当に申し訳ない事をした】 (「クラクションを鳴らせ! 変わらない中古車業界への提言」本文より)

これは、中野さんがビッグモーターに勤めていた時代に関わった人たちに向けた、懺悔の言葉だという。この一文を読んで、NMB48のキャプテンを務めるこじりんにも思うところがあったのだとか。

小嶋「この本、『本当に申し訳ない事をした』という一文から始まるじゃないですか?」

中野「うん、謝罪からね(笑)」

小嶋「私も あの動画 を出したときに、本当によくない自分だったなって思うんです」

中野「え、そうなんですか?」

小嶋「あの時期は本当に、今でも思い出すとしんどかったなって思うんです。…すみません」

中野「泣かせてしまった!こちらこそごめんなさい!言いにくい質問しちゃったかもしれない」

小嶋「違うんです…!今は現実を受け入れられるようになったんですが、それはすごく残酷だなって思うしそんな自分を悲しくも思うけど、あの時期は本当に『何とかしてでも変えたい』という気持ちが先走ってしまって。今はあの動画の自分は恥ずかしくて見れないんです」

中野「いや、めちゃくちゃいいと思いますよ。動画の中でもみんなに謝ってたじゃないですか。それができる人ってなかなかいないんですよ。メンバーみんなの意見を聞いてあげて、『これまでごめんね』って話せていたじゃないですか。あれができるリーダーって本当にいないですから、泣かないでくださいよ」

NMB48のメンバーへの「申し訳ない」という気持ちや、キャプテンとしての自分の不甲斐なさなど、さまざまな思いが涙としてあふれた


小嶋「ありがとうございます。今、キャプテンになって5年が経つんですけど、何年やっても言い続けてきた夢をなかなか叶えられなくて、ずっと『申し訳ない』と思ってしまいます」

中野「だから本にある『申し訳ない事をした』っていうワードが気になっていたんですね」

小嶋「そうなんです。私は全然結果を出せていないのでアレですけど…(笑)」

中野「めちゃくちゃ結果出してるじゃないですか!」

小嶋「いやぁ(笑)。中野さんは当時を振り返って『申し訳なかった』って言葉が出てくるのかもしれないですけど、結果がついてきていたので私とまったく同じ環境ではないと思いますが、やっぱり過去の自分を振り返ったら私も『申し訳ない』って気持ちがあって」

中野「そっか、マインドみたいな部分を今も清算しきれてないんですね。じゃあ、その話をしましょうか!たぶん同じような悩みを持っている人がめっちゃいると思うんですよ。過去の失敗や責任を背負って前に進みづらくなっているかもしれないですが、過去のことは消せないですからね。じゃあ、僕が過去を清算した過程を含めて話しておきましょう。まるで何にもなかったかのように振る舞っている理由みたいなものを(笑)」

小嶋「はい(笑)」

株式会社ビッグモーターの不祥事によって中野さんにも批判の声が多く寄せられたという


中野「僕もYouTubeやXをやっているからもちろんアンチがいて、『ふざけんな!』という言葉は何百何千の数来てるんです。『おまえも元ビッグモーターだろう。ふざけんな!この元凶を作ったやつじゃないか』っていう人もいますし、『お前、なんであのとき止めなかったんだ!』みたいなことを言われるんですね。それに関しては、本当にもう謝るしかないというか、止めようと思ったけど、僕は止められなかった人間なんで。『尻尾を巻いて逃げた』『おいしいところだけ持っていった』って言われるんですけど、本当にそのとおりだと思います。そういう声もあるってわかっていたし、出ても叩かれるってわかっていたので、僕、40歳まで勇気出なくてSNSをやってなかったんです(笑)」

小嶋「え!そうなんですか?」

中野「まだSNSを始めて1年ちょっとなんですよ!別にその当時はビッグモーターもこんなことになってなかったし、やましいわけでもなかったんです。表に出るようになって、SNSのフォロワーが増える様子を見て、下手したらBUDDICAが潰れるようなことになるかもしれないリスクはあったけど、うまく立ち回ればファンがつくかもしれないと思いました。正直怖かったですけどね。『元ビッグモーターの幹部』ということを一生背負っていかないといけない、という恐怖がずっとありました。ただ、これは本にも書いているんですけど、それを言ったことでプラスになる人がいるんだったら、やっぱり出たほうがいいと思ったんです。『今さら』って言われるけど、それはそのとおりなんです。でも、今からできることに、未来に集中することにしたんです」

小嶋「そうだったんですね」

中野「ビジネスマンに多いんですよ。過去に失敗しているから、大きな商談を飛ばしてしまったから、また迷惑かけちゃうんじゃないかって思い切れないんです。逆に言うと、僕ら上司や経営者の立場だと、1回失敗したことがある人のほうが仕事を任せやすいんです。失敗したことがない人よりは1回失敗したことがある人のほうが当然うまく立ち回るだろうし、慎重にやるでしょうから。むしろその人はもう1回失敗してるんだから、『もう次は失敗しません!』って言ってやってほしいんですよね。それでできなかったとしてもいいんですよ。そういう人のほうが成功確率が高いんで。だから、過去に失敗や責任を感じるよりは、理想の未来だけに集中するのがいいと思います。僕はいまだにけっこう叩かれますけどね(笑)」

小嶋「まだ叩かれるんですね…」

中野「それはもう全部ミュートです(笑)。とはいえ、花梨さんの場合、そういう対処ではいけないこともあるんでしょうけどね」

小嶋「でも、正直周りの反応にビビっているというのもあると思うんですけど」

中野「怖いですよね」

小嶋「でも、こうやって涙があふれるってことは、まだ夢を実現したい気持ちがあるってことなのかなと思いました」

中野「その涙は、花梨さんがキャプテンとして責任を感じている証ですよ。メンバーの子たちにもめちゃくちゃ伝わっていると思います。僕はよく、努力や頑張りを定量的に測る方法についてYouTubeで発信しているんですけど、頑張っているから涙が出るんです」

小嶋「えっ、そうですか?」

中野「うん。キャパシティを超えて頑張って、そのキャパを超えた分が涙として出ているんで、それは素晴らしいですよ。頑張っている証ですから、自信持って!」

小嶋「ありがとうございます。自分の今の立ち位置やいろいろなことを考えて、久しぶりに涙が出ました。なんか自然と自分の気持ちを閉ざしていた気がします。たぶん、今はもう自分の気持ちを出しすぎないことが正解かもって考えて、閉ざしていたんだと思います」

中野「全部出しちゃいましょう。苦しさもあるんでしょうけどね」

小嶋「ありがとうございます。けっこう出ちゃいましたけどね(笑)」


自分の“弱さ”を出していく!中野さんが提唱する「リーダー」論

小嶋「本を読んでいて、中野さんの人間性やマインドがすてきだなと思いました。先ほどもお話した冒頭での『申し訳ない』から始まり、途中でも謝っている一文があったりして、常に正直でいるような気がしたんですが、そうなれたきっかけはありましたか?」

中野「きっかけね。たしかに『なんでそんなに全部出せるんだ』って言われますね。出せない人多いんでしょうね」

小嶋「はい、出せないと思います(笑)」

中野「いつからだろう。でも、大人になるにつれて徐々にじゃないですかね。もともとは嘘つきというか、盛り癖があるんですよ。これ、ある程度優秀な起業家の条件だと思っていて。“嘘はつかないギリギリのラインでやる”みたいな」

小嶋「え、どういうことですか?」

中野「『BUDDICAで流通革命を起こす』と宣言して実行に移していくんですけど、最初はプレハブで『革命だ!』って僕ひとりで叫んでたんです。これ、ちょっと盛ってるんですけど(笑)。こんなふうにとにかく宣言してから実行するタイプなので、現実とかけ離れてることもあります。たとえば、ビッグモーターに入社したときに『最短でトップセールスになる!』と言って、入社した月にそれを達成するって宣言したんです。で、その月には達成できなかったんですけど、次の月もまた同じことを言うんですよね。それで、結果的に達成するんです。でも宣言した時点では嘘をついてますよね。大事なのは“言った言葉に自分を追いつかせること”なので、だから僕は全部言うようにしてるんですよ。そうすると自分の失敗とかも全部言うようになってきて、言えば言うほどコスパいいんですよね(笑)」

小嶋「なるほど!」


中野「ちなみに僕、ADHDの診断を受けていて。めちゃくちゃ忘れ物するし、今日も名刺入れ忘れてきたし(笑)。電車も50%の確率で乗り越したりして、とにかくミスりまくるんですよ。遅刻もしまくるんですけど、それを取り繕って萎縮するよりは、常に言い続けたら許してくれるかな、みたいな。もちろん、何とかしようとは思ってるんですけどね(笑)。だから、『できない、弱い、助けてくれ!』と声に出します。それこそ僕、エクセルが苦手なんで、『うわぁ、できない』って言ったほうが助けてもらえるし、逆にできることも言うようにしています。花梨さん的には思っていたような答えじゃないですよね。誠実で人間性が素晴らしいって話ができたらよかったんですが、実は打算的にやってる部分もあるっていう(笑)」

小嶋「いやいや、ありがとうございます!けど、いわゆる“社長”のイメージで言うと、弱いところは見せない、失敗は見せない、みたいな感じがなくはないのかなと思うのですが…」

中野「というか、大体それが“いいリーダー”とされていますよね(笑)」

小嶋「そういった世間のイメージがあるなかで、ここまでさらけ出せるはいことってやっぱ難しいのかなって」

中野「そっか、花梨さんも世間的なイメージのほうのリーダー派だったんだ」

小嶋「そっち派でしたね」

中野「それはそれでいいと思いますし、リーダーにもいろいろあると思うんですけど、漫画の『ONE PIECE』のルフィって知ってます?」

小嶋「もちろんです!」

中野「どちらかと言えば、僕はルフィに近いリーダーなんですよ。だから『俺は航海術は持ってねえんだ』『飯も作れねーし』みたいに、ルフィは弱さを吐露するんです。時々、泣いたりもしてね」

小嶋「たしかに…!」

中野「僕もみんなの前で泣いたりするし、普通に感情高ぶったりテンション上がりまくったりするんですよ。それで、できることとできないことをセットで言うと『誠実』と思ってくれるし、助けてくれる人が集まってくれるんです。今、うちは社員がどんどん増えてきてるんですけど、必要なときに必要な人が増えていくんですよね。こんな感じで会社を運営しています。だから僕ね、Xでよくクレームが入るんですよ。SNSをやっている車屋ってけっこう珍しいからクレームが来るのも当然のことですけど、それも全部表に出すんです。『こういうことがあって本当に申し訳ないから、すぐリカバリーさせてくれ!』と言いながら、やり取りをすべて出します。普通は隠そうとするじゃないですか。だけど、出したほうがクレームを出した人の傷も癒やせるし、ほかの人にも見せられるし、『こんなことやらかしてんだ』っていうクレームでも、表に出したら『正直だ』って言ってもらえるんですよ。これが商売じゃなくても、人間の弱さって表に出したら案外共感してもらえるっていう」

小嶋「『ピンチです!』って言ったほうがいいんですね。まるで失敗のない会社を装っているよりそれを見せたほうが、その嘘偽りのない姿が信用となって、そこにファンがつく」

「すべてをさらけ出すことで『信用』につながっていく」。多くのファンを持つこじりんにも響いたようだ


中野「なかなかできないかもしれないけど、コスパはいいですよ!もうそのまま出すだけなんで、『これやろうかな、いややっぱダメだな』とかないですからね。それをどう見えるかを考えてしまうとけっこう大変なんで。だから僕は、Xによく『またやってしまった』ってポストしています(笑)」

小嶋「(笑)。正直ですね!」

中野「ただ、そのへんもアイドルは難しいところありますよねぇ」

小嶋「どんな失敗かにもよりますけどね(笑)」

中野「たとえば、僕の自宅の鍵は2つあって、スマホで操作できる鍵とリアルな鍵があるんですけど、スマホでロックできるんで、リアルな鍵を忘れても部屋は出られるんですよ。でもスマホを30%くらいの確率で家に忘れるんです。だから誰かが入るときに一緒に入るんですが、その鍵がないとエレベーターにも乗れないんで階段で戻ることになって、それがもうつらい(笑)。『なんで俺はこんなにも忘れるんだ!』って思いますね。あらゆる対策をするんですけど、それでも忘れちゃって。でも、これを表で言うと『かわいい』って言ってもらえるんです」

小嶋「たしかに(笑)。ちょっとお茶目というか」

中野「あと、これはリアルな話ですが、GoogleマップにあるBUDDICAの評価が良すぎたんで、ちょっと調べたんですよ。そうすると、『サービスがよかった』っていうのもあったんですが、身内のコメントもあったんですよね。これも『こんなことがあったので、消させました』ってXでポストしたこともありますし、社員の目の前でお客様にレビューを書いてもらったりしていたので、そういったことをやめましたって発信したら『すげぇ』ってなりましたね」

小嶋「それはなりますよね!」

中野「でも放っておいたら、社員や僕らにもずっとやましい心があるし、『評価が良すぎるだろう!』って言われたときに反論できないんで。今でも言われるんですけど、こうして清廉潔白にすることで反論できるようになったんで、だからやっぱり『コスパがいい』っていう考えですかね。でも、アイドルだとこういうところは難しいですよね。アイドルって日本語で『偶像』って意味でしたっけ?」

小嶋「はい!そうですね」

中野「気になっていたんだけど、NMB48のメンバーの中で、その偶像のアイドルをやりたい人と、もうちょっと自由にやりたい人ってどれぐらいの割合なんですか?」

小嶋「どうでしょう…。7:3くらいですかね。偶像のアイドルでいたい人が7で、自由にやりたい人が3って感じでしょうか。もしかしたら8:2くらいかもしれません。私自身、最初はアイドルになりたかった人ではないので、そもそもNMB48に入った段階からモチベーションが違うかもしれないですけど、アイドルになりたくて入ってきたメンバーは偶像のアイドルを目指しているケースが多いと思います。ただ、それが間違いではないと思うんですよ。それを求めてるファンの方もいますし」

中野「なるほど、それはマネジメントが大変だ(笑)」

小嶋「そうなんですよね。めっちゃ難しいです」

中野「僕たちみたいな組織だったら、同じ性質の人たちが集まってくるじゃないですか。だけど、8:2で割れるってなると難しいよね」

小嶋「そうなんです。全員一緒の方向を向くようにしたりとか、マインドをそろえるのはやっぱり難しくて…。そこは現実的に無理かなって思ったりしています(笑)」

中野「なるほどね」


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