「どろぼうくん」と呼ばれ失った友情…「ごめんなさい」と謝る勇気で変わる未来はあったのか!?【作者に聞く】

エッセイや創作などの漫画をSNSを中心に発信している漫画家・虹走(@nijibashiri)さん。これまでに、「ボクと壊された初恋 ゲームに、女子に、チャットに夢中だったあの頃(KADOKAWA)」や「妻で心が安らいだ話(東京ブックス)」などの書籍も刊行している。そんな虹走さんがSNSにアップしている「ボクと沈黙の三年間」という作品は、「ごめんなさい」のひと言が言えなかったために大切な友達を失ってしまった主人公・ボク君の物語である。

「ごめんなさい」が言えなかったばかりにゆがんだ関係が3年間も続く虹走(@nijibashiri)


主人公・ボク君にはV君とW君という2人の幼なじみがいた。ある日、W君の家で2人で遊んでいるときに事件は起こった。W君がトイレに立ったときに、ボタンを押すと絵が変わるキーホルダーを見つけ、ボク君は勝手に遊んでしまう。そしてキーホルダーを壊してしまい焦っているところにW君が戻ってきて、ボク君は咄嗟にポケットに隠してしまった。結局そのままキーホルダーを無断で持って帰ってきてしまったボク君。つまり、ボク君は、他人のものを盗んでしまったのだ。

壊してしまったことを言い出せず、咄嗟に隠してしまった!虹走(@nijibashiri)


その日は罪悪感と恐怖…さまざまな感情に押しつぶされるように、ただただ怖くて泣いたボク君だったが、月日が経つにつれ、罪悪感は薄れていった。そんなある日、恐れていた事態が突然訪れる。「どろぼうボクくーん」「どろボクくーん」とボク君を呼ぶ声が響いた。V君とW君だった。そこから3人のねじれた関係が、実に3年間も続いていくのだった。本作はエッセイ漫画であり、主人公のモデルは作者である虹走さんご自身である。そこで虹走さんに当時を振り返って話を聞いてみた。

「どろぼうボクくーん」と呼ぶ声に冷や汗が止まらない…虹走(@nijibashiri)


――「あのときああしていればよかった…」など、大人になった今の自分から当時の自分へアドバイスはありますか?

当時、一緒に登校し続けてくれたW君にボクから少しでも話しかける努力をしていれば、あの登校中の息苦しさはなくなったんじゃないかなと思います。罪悪感などもありましたが、少しでも自分から変えようとすれば変えられることもある。もう一歩進める勇気があったなら…と振り返って思います。

――逆に、その3年間のつらい経験が今の自分に役に立っていることがあれば教えてください。

漫画に登場しているW君やV君、そしてH君。ボクにいろいろな印象を残してくれた彼らですが、別の同級生からの印象はボクと全然違ったりしました。人として合う・合わないは絶対にある。結局、あのタイミングで離れてしまう関係であれば、それくらいの仲だったんだと割り切れるようになりました。でも、W君に対して「あのときにもう少し…」という後悔を覚えている以上、一瞬でも「こうした方がいいかな…」というようなときには、今後の後悔を作らないように動けるようになりました。

彼らのことが好きだった。自分がよい子どもじゃなかったからよい友達になれなかったと振り返る虹走(@nijibashiri)

卒業シーズンの今。もしも友達との関係で後悔がある人がいたら、少しの勇気で変わる未来があるかもしれない。あとから「ああすればよかった」と思うことは簡単なのに、分岐点となる現時点で勇気を出すことはなかなか難しい。しかしアクションを起こせば、何らかのアクションが返ってくるのも確かで、うまくいってもいかなくても、それで後悔の念が少しでも減るのであれば行動することも悪くないだろう。もしそこで途切れる縁ならば、虹走さんが言っているように「それくらいの仲だった」と割り切るのも選択肢のひとつと捉えよう。今春、卒業して新しい道を歩く皆さんの人生はまだまだ長いのだから…!

取材協力:虹走(@nijibashiri)

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