コーヒーで旅する日本/九州編|ゆっくりで良い、継続していくことが大切。地方で築いたコミュニティと共に歩む「MY珈琲」

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

焙煎して、ハンドピックを日々コツコツと

九州編の第46回は、長崎県佐世保市にある「MY珈琲」。店を構えるのは佐世保市街地から車で15分ほどのやや郊外。交通量は比較的多い国道498号沿いにあるが、町の風景に溶け込み、目立つ店ではない。ただ、2008(平成20)年に開業し、佐世保市エリアにスペシャルティコーヒーの魅力を広めた一店として知られ、ここの豆を買いに訪れる常連は数多い。開業から14年、「MY珈琲」が地元に根付き、愛されている理由を探る。

店主兼ロースターの山口正樹さん

Profile|山口正樹(やまぐち・まさき)
1972(昭和47)年生まれ。両親の転勤が多かったことから、大分県中津市や福岡県福岡市など各地で暮らす。専門学校進学を機に上京。東京で飲んだ「堀口珈琲」のコーヒーのおいしさに感動し、コーヒーの世界に興味を抱く。その後、さまざまな仕事をする中で自家焙煎を柱としたコーヒーショップを開くことを決意。両親の故郷の近くであった佐世保市に2008(平成20)年、「MY珈琲」をオープン。

暮らしに溶け込むコーヒー

店は伊万里市から佐世保市に抜ける国見峠を下ってすぐ

コーヒーとは自然と暮らしになじむもの。「MY珈琲」を訪れて、最初にそう感じた。店があるのは佐世保市の矢峰町というやや郊外で、暮らす人が多いエリア。ほとんどの人の移動手段が車のため歩いている人は少なく、カフェを開くには決して好立地とは言えない。ただ、豆売りをメインとするなら話は別だ。

店主の山口さんは「当初は土地勘があって、友人・知人も多い福岡市内で開業を考えていましたが、家賃も高いし、焙煎OKなど条件に見合った物件に巡り合えなかったんですね。根がせっかちで飽き性なこともあり、自戒の念も込めて“ゆっくり営んでいこう”という思いを抱いたのもありました。それで、両親が暮らしていた佐世保市矢峰町に店を開くことを決めました」と開業した当時を振り返る。

上品で繊細な味わいを表現するために

コーヒー粉に湯をしっかりと行き渡らせるためドリッパーをゆっくりと回す仕草も独特

山口さんはどこかでコーヒーの修業を積んだわけではないが、とある縁から大分県・耶馬溪町の豆岳珈琲、石川県・能登半島の二三味珈琲の影響を強く受けている。それもあり、仕入れる生豆は両店と同じく、堀口珈琲が運営するリーディングコーヒーファミリー(LCF)。

「最初に感銘を受けたのが堀口珈琲さんのコーヒーだったことも大きかったですね。実はその体験をするまで、コーヒーはただ苦い飲み物という認識で、まったく好きじゃなかったんです。だけど堀口珈琲さんのコーヒーは、香り高く上品で、繊細な味わいでした。いつか自分が店をやるなら、絶対にLCFから生豆を仕入れたいと強く思いましたね」と山口さん。

佐世保市で店をやると決め、すぐに堀口珈琲に足を運んだ山口さん。生豆を仕入れたい旨を伝え、晴れてLCFに加盟が叶った。

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